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Ana Caram3枚目のSACDで2004年2月に収録。題名の通りアメリカ西海岸生まれの曲をメインに彼女のスタイルであるボサノバのリズムにアレンジ。前2作がとてもシンプルなギターメインの編成であったのに対し、このアルバムでは全曲を編曲したMichel Freidensonのプログラム(打ち込み)をメインにLawrence FeldmanのSAXとフルートが絡む演奏となっています。
これはもう完全に僕個人の意見になりますが、アレンジャーでありこのアルバムすべての打ち込みを担当したFriedensonの作り出した世界はあまりに商業的で、Anaの素朴さを閉じ込めてしまっているように感じるのです。 しかしこのヴォーカルにキーボード&SAXという編成は、実は夏のリゾート地では極普通の組み合わせで、その観点から聴くとまるでRioのバーラウンジで夕食の後の観光客相手に演奏する、誰もが何処かで聴いたことのあるアメリカ産のメジャーな曲をボサノバのリズムに乗せて演奏するというコンセプトは実にこのアルバムタイトルを旨く表現してるとも言えると思います。しかしラウンジで聴くライブ演奏はBGMでしかなく、ライブコンサートのようなスリリングさは一切ありません。 SACDマルチ再生の音場はチェスキーお得意のフロント2chをメインとした4ch再生でフロントスピカー無しの設定となっています。マルチ再生によってリスナーをふわりと包み込む柔らかい響きは再生されますが、打ち込み中心のアルバムの為かCD層と比べてもアコースティック中心だった前2作のような劇的な音質の違いはありません。 個人的にはこのアルバムはCD層、もしくはSACD層の2ch再生のほうが聴いていて小気味良い感じがしますし、全体的にSACD層マルチ層よりもカチッとした響きがするような気がします。またAnaのヴォーカルも前面によりクリアに出てくる印象をCD層の再生で受けました。 このアルバムを聴いてみて改めてSACDはアコースティックな楽器の再生に強いなという印象を得ました。しかし気になるのは曲の終わり方で、シンセサイザーのデジタルな音を一気にヴォリュームダウンして切ってしまうような曲が多いのには少々頂けない感があります。 今回はちょっと辛口のレビューですが、前2作のナチュラルでアコースティックな響きのアルバムの出来が素晴らしかっただけにこのアルバムの方向性は残念で仕方ありません。これは単に編曲家兼プロデューサーであるFriedensonとCheskyの方向性の問題なのでしょうが、Anaのナチュラルさを完全に閉じ込めつまらない物にしてしまっているような気がしてなりません。 前作「Blue Bossa」のレヴューにも書きましたが、僕の大好きなAnaの音程のとり方の危うさが完全に払拭され、きちんと整理された味気ない普通のアルバムになってしまっているようで僕は余りこのアルバムに共感は出来ませんでした。 しかしトラック4の「I’m Getting Sentimental Over You」のボサノヴァアレンジははじめて聞きましたし、アルバムとしてのまとまりは決して悪い物ではありません。こういうAnaが好きな方もいると思いますので、是非購入前には試聴されてから購入される事をお勧めします。
by buckup
| 2005-08-17 09:26
| SACD。 (63)
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