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事の発端は今朝ドイツ・アマゾンから以前注文していたCDとSACDが4枚届いた時からだった。
僕は早速そのうちの一枚、Carlos Franzettiの"THE JAZZ KAMERATA"(SACD・4ch)を先日新たに導入したばかりのSONYのSCD-XA3000ESで聴く事にした。さてどんな素晴らしい音が出て来るかと期待に胸を膨らませこのアルバムを聴いてみると、何とそこから出てきた音は完全に僕の期待を裏切った、センターのソロサクソフォーンが滅茶苦茶にうるさい、バランスの崩れた、マルチ再生の統一感など微塵も存在しない酷い音だった。 さてこれは一体どうした事かと冷静にSACDステレオ2chで再生してみると、確かにソロサックスは他に比べワンボリューム上で再生されるものの、丁度ライブなどでソロ楽器がマイクを通して再生されるような臨場感溢れる通常通りのSACDの音だった。では何故マルチ再生ではバランスの崩れた音で再生されるのだろうとじっくりと考えてみた。 じつはこのSACDを聴いている時も、僕は先日入手した新XQシリーズのカタログを眺めていたところだった。そして新XQシリーズについてネットで色々と調べてみると、XQを床に対して直角ではなく少々上向きにセッティングしている写真がとても多い事が気になっていた。もしかしてXQは少々上向きのセッティングが良いのかもとそれらの写真やカタログを見て僕は考えていたところだったのだ。 そんな事もありこれはチャンス(?)と思い立ち、早速床とスタンドに対し完全に直角になるようにセッティングされていた我が家のXQoneを上向きにセッティングしてみる事にした。 という訳でまずは後方のスパイクをねじ込み角度を調整する。しかしスピーカーを床に直角にセッティングする為にはこの後方のスパイクはピンヒールのかかとの如く、かなりの長さを稼がなければ直角にはならない。それをグルグルとSP本体にねじ込んでいくうちに段々とSP本体が旨い具合に傾斜してきた。とりあえずは両方のスピーカーを記憶にあるネットで見たXQの写真程に傾斜させてみた。そして改めて"THE JAZZ KAMERATA"を試聴。 するとどうだろう、なんとバランスを崩していたセンターのサックスの音が何故か旨い具合にスッポリと収まった。そして何よりも驚いたのが格段に向上したピアノの存在感とリアリティー。SACDマルチをはじめてから初めて体験したSPがまさに「消えて」部屋全体の空気感が変化したことに僕は心底驚いた。 たった数度だけフロントSPを傾けただけでこの変わり様。それではと思い、調子に乗ってさらにSPを上向きに傾斜させてみた。そうするとフロントの間に旨い具合に収まっていたサックスがまた暴れだし、同時にバスが痩せ細り、高音がキツくなった。これまたたった数度上向きにしただけでこの変わり様。SPの上下角がこれほど繊細で効果絶大だとは思っても見なかった。 色々とスパイクを調整しているうちに、後方のスパイクを一杯までねじ込み前方スパイクにマーキングされた青い色が丁度見える程度に調整してみると、これまた音も旨い具合に繋がるのだった。こんな簡単な事だったらマニュアルにちゃんと書いてよとも思ったが、XQのマニュアルは図のみの簡単な物だった事を忘れていた(笑)。 それにしてもこの信じられないまでの上下角による音の変化。いままではずっとスピーカのセッティングは開きの角度こそがすべてだと思っていた。確かにフロント2chのステレオ再生ではSPのセッティング角度(正面、内向き、外向き等)で音場の広さや定位等を調整出来、旨い位置を見つけるといわゆる「スピーカーが消える」という事を僕でも体験する事が出来た。 しかしスピーカーを5本使うマルチの場合、いままでも部屋全体を包み込む素晴らしいSACDマルチ再生ならではの響きを楽しみ、その柔らかな響きに身を任す事が出来ていた反面、再生するソフトによっては5本のスピーカーのバランスが旨く取れなかったり、センターSPから出て来る音が不自然に感じた事も稀にあったし(これはセンターSPのみがTVの上という他のスピーカーに対し高い位置にセッティングされている事に起因していると思っていた)、スピーカーの「存在感」を感じずにはいられなかった。 それがちょっとセンターSPの上下角を弄っただけで、マルチ再生でもまさに「スピーカーが消える」という素晴らしい体験が出来てしまったのがまさに奇跡といってもおかしくは無いだろう。 マルチでも上向きすぎるセッティングは宜しく無かったが、ステレオ再生ではマルチよりも顕著にそのマイナス点が明確になった。 スピーカーを上向き過ぎにセッティングすると、まず正面の音の定位が目の前ではなく情報へ移動してしまう。そうすると丁度オペラハウスのオーケストラピット(奈落)から歌手を聴いているかの如く自分の試聴位置が再生音に対して低過ぎるポジションになってしまう事。それに伴いマルチ同様、バスの量感が薄れ高音過多になり、とんでもなく薄っぺらい安っぽい音になってしまった。 長々となってしまったのでとりあえずここらでまとめてみたいと思うが(笑)、XQoneというスピーカーを使用する際には、水平よりも上向きにセッティングする事により見違える程明確且つ自然な響きが得られ、おそらくこのSPのポテンシャルをより引き出せるのではないかという事をここに記しておきたいと思う。 また純正のスタンドを使用する場合には、中に一杯一杯に「砂」を注入する事をお勧めしたい。これによってバスが引き締まり、量感が格段にアップする筈である(少なくとも僕の場合はそうだった)。 XQoneを使い始めてから3年。KEFらしからぬ音のするスピーカーというのはリリース当時から言われていたが、ここまでセッティングにシビアで激変するスピーカーだったとは思いもしなかった。 しかしこの良い方向への奇跡の激変によって、さらに音楽及びDVDを鑑賞するのが楽しみになる事は間違い無しだろう(笑)。
by buckup
| 2008-07-31 00:16
| AUDIO。 (69)
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Comments(4)
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tto
at 2008-09-06 12:25
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はじめましてこんにちは!
minipod購入で迷っていてこちらの日記をみつけました! こちらの日記/2005-10-30でminipodの気になる点をあげてらっしゃいましたが、その後どうなんでしょうか??? 私もまったく同じ点が気になったもので、、迷っているんですー! もしよろしければ教えてくださいませ!
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Yusuke
at 2008-10-07 19:58
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はじめまして、今年9月からドイツに留学している。ユウスケといいます
MacBookのことでお聞きしたいことがありまして、2007、10―05の記事に書き込みしたのですが、通常修理には時間はどのくらいかかるものでしょうか?あとカバンの中にいれて移動していたらHDDが読み込まなくなってしまいました・・それでMediaMarktに修理にだしたのですが、 差し支えなければお願いいたしますm(_ _)m
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buckup at 2009-02-09 06:35
ttoさん、お返事遅くなりスミマセん。
minipod購入されたのでしょうか? このSPやっぱりデザイン優先ですがそれなりに鳴る優秀なSPだと思います。 しかしどのアンプに合わせるかでかなり音質・キャラクターの変わるSP(まぁどのSPも同じですが)だと思います。 このSP、音楽は勿論、実は映画鑑賞(5,1ch)で その実力を発揮するのではないかと最近思っています。
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buckup at 2009-02-09 06:39
Yusukeさん、無事MacBook戻ってきましたか?
僕の場合MMacBookの修理、かなりストレスたまりましたね。通常の修理は2〜4週間だと思いますが、僕の場合立て続けに3回不具合が連続。そんな訳でかなりの長期間手元にはない印象を受けました。 ちなみにドイツの法律で、同じ場所の不具合が3回生じ3回目に完治出来なかった場合は保証期間以内なら無償交換もしくは代金の返却を保証するという法律があるので、あまりに不具合が続く場合は身近なドイツ人に是非相談してみて下さい。
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